よく言われることですが、弦楽器はとても繊細なので、日々のお手入れが大切です。

ただ、楽器の嫌がることをしなければいいだけの話しで、難しく考える必要はありません。

楽器が一番嫌うのは、湿気です。
弦楽器はニカワという天然の接着剤で木と木をくっつけているのですが、
このニカワは、水分を含むと粘着力が弱るので、楽器が剥がれてしまうからです。
なので、汚れたからと言って決して水拭きはせず、乾いた柔らかい布で軽く拭いてあげて下さい。
ただ、あまりゴシゴシすると、今度は表面に塗っていあるワニスが剥がれてしまいます。

お手入れに使用する布は以下の3種類を準備しましょう。
(1)指板上の弦と指板を拭く布:指板上の弦と指板には演奏後に手の脂や汗がついています。これが弦の弓で擦るあたりにつきますと、音がうまく出な くなります。
(2)弦や弓の松脂を拭きとる布:松脂は演奏が終わったら必ずきれいに拭き取ります。布にたっぷりと松脂がついてしまいますので、必ず他の部分を拭く布と分けてください。(弦の松脂は布では拭いきれない場合もあります。このような時は、ワインのコルク栓を洗って乾かしたものを使うと意外に効果的です。ただし、あまりゴシゴシしないでください。)
(3)楽器のボディを拭く布:楽器のボディを拭く布は、松脂や手の脂や汗がついていないキレイな布を使いましょう。

楽器を片付けるときに、弦は緩める必要はありません。駒がずれたり、倒れたりする原因となります。
最悪の場合は、駒だけでなく中の『魂柱』という大切なパーツが倒れてしまうことも…。
そうなるとプロでないと元に戻すことはできません。

弓は、使い終わったら布で松脂を拭いておきましょう。
毛の部分は拭く必要はありませんが、弓の手元のネジで毛の張りを緩めておきましょう。ただし、毛がぶらぶらするのは緩め過ぎです。

楽器を弾いた後は毎日このようなお手入れをして、楽器を休ませてあげましょう。
楽器ケースにしまっておくのが一番安全ですが、湿気や気温の極端な変化がなく、直射日光の当たらない所で、人や物がぶつかったりしない安全な場所なら、ケースにしまわなくても大丈夫です。すぐに練習ができますし、見て楽しむこともできます。
(執筆者:HK)