弦楽器の弦は、昔は、羊の腸を乾かしたモノが使われていました。ガット弦と呼ばれます。(ガットとは腸のことです。)
しかし、耐久性がなく、品質にもバラツキがあるので、産業革命以降色々な改良がされました。
今、市販されている弦は、大きく分けて次の3つに分類されます。


《ガット弦》
現在のガット弦は、羊の腸の外側に金属を巻き付けて、耐久性を高め、品質を均質にしています。
弦楽器本来の倍音の多い豊かな音がします。
ただし、湿度や温度の変化で音程が変わりやすく、また、自然と弦が伸びて音程が下がったりして、調弦は頻繁に行わなければなりません。
また、切れやすく、寿命が短いです。

《金属弦》
温度や湿度の影響を比較的受けづらく、耐久性にも優れています。
ただ、音色は、金属的になります。決して悪い音色という意味ではありません。
演奏する曲や演奏者の好みにより、金属弦の方が向いている場合も多いです。

《ナイロン弦》
ガット弦と金属弦の中間的な存在です。
合成繊維を使うことにより、ガットよりも耐久性を高め、温度湿度の影響を受けづらいですが、金属弦程ではありません。一方音色はガット弦に近いものがあります。
ナイロン以外にもペルロンなど新素材も数多く開発されています。


弦の交換をするときは、異なる銘柄を組み合わせる方も多いですが、自分の好みや自分の楽器のクセがよくわかるまでは同じ銘柄のセットを使うことをお勧めします。

また、同じ銘柄でも、張力の強、中、弱の3種類がありますので、こちらも、混ぜて使わないよう注意しましょう。

弦を交換するときは、1本ずつ付け替えてください。全部外してしまいますと、駒や魂柱が倒れることがあります。

また、演奏会の直前(1週間程度)に弦を交換することがないよう計画的に弦交換を行いましょう。
演奏会の直前の弦交換は、弦が馴染んでなく、音程が下がりやすくなるので、避けたい所です。音色は、特に問題はありません。(執筆者:HK)